プロレス本・書籍紹介 プロレス雑誌大戦争!
本日もプロレス本・書籍のご紹介をいたします。今回ご紹介するのは、初版が7年前で、増刷も終わっている模様のため、現在新品を入手することが困難となっているであろう「プロレス雑誌大戦争!―『週刊ゴング』vs『週刊プロレス』激闘の30年史」です。
本書は「週刊ゴング」(日本スポーツ出版社)「週刊プロレス」(ベースボールマガジン社)・・・プロレスファンなら誰もが良く知るこの2大誌のTOPとしてそれぞれ辣腕を振るった、週ゴン・竹内宏介氏(古いファンの方なら「全日本プロレス中継」の解説者としてご存知ではないでしょうか)と週プロ・ターザン山本氏(こちらは説明するまでもなく、ある意味「レスラー以上に著名」となってしまいました)の競作(「共作」、の方が感じが近いでしょうか)となっています。お二人共、プロレスに吸い寄せられ、そして雑誌編集に携わっていく過程から、それぞれが週刊誌の長となり、熾烈な販売競争の中でお互いをライバル視しつつ、微妙にクロスしていくところ等が、竹内氏、山本氏双方の立場より書かれており、大変興味深く読むことができます。有名な話ではありますが、竹内氏のプロレス誌におけるスタートは、後にライバルとなるベースボールマガジン社であった点等は何か因縁を感じさせられますね。
週刊プロレスの創刊(というか、月刊プロレスの「週刊化」)は1983年7月のことでしたが、それからしばらくの間、ゴングはこれに追随することなく月刊の方針を貫き、2誌はそれぞれ独自路線を取っていました。ところが、週プロが軌道に乗り始めたこの年の8月に、あの「新日本プロレスクーデター事件」が発生、その後もすぐ新団体設立騒動(後の第1次UWF)等が続いていく混迷時代に直面し、ゴングはファンに対する「月刊」誌での情報提供への限界を感じはじめた結果、ついに翌年5月に週刊化を敢行、プロレスは2大週刊誌時代へと突入していくこととなりました。ちなみに週プロの創刊号の表紙は、当時退団騒動の渦中にあった初代・タイガーマスク(佐山サトル氏)であったのに対し、週ゴンの創刊号の表紙はオーソドックスな「ジャイアント馬場・アントニオ猪木」であり、これを見た週プロ・山本氏はこの「週刊誌戦争」の勝利を確信したとか(当時のプロレス2大巨頭をその創刊号の表紙に使う無難な選択に「既成概念の殻」を打ち破れないと見た)。また、同年、今は亡き「ビッグレスラー」(立風書房)の週刊化等もありましたが、結局はこの2大誌を脅かすことはできず、2誌鼎立時代が続くことになります。
ということで、2大週刊誌とプロレス業界の関わりを辿る上でも、本書は読み応えがあり、また、史料価値としても高いもので、今何となくこれら週刊誌を読んでいる方にもオススメできますし、もちろん、「かつての愛読者」の方々にもオススメです。
ご存知のとおりターザン山本氏は実質的に週プロを終われ現在はフリー、一方週ゴン竹内氏も経営面等でいろいろご苦労されています。
両氏に対するいろいろなご批判もあろうかとは思いますが、このお二方なら、まだまだ大きな、そして素晴らしい仕事をしてくれると思いますので、今後とも応援していきたいところです。
オススメ度 ★★★★★(5点満点)

本書は「週刊ゴング」(日本スポーツ出版社)「週刊プロレス」(ベースボールマガジン社)・・・プロレスファンなら誰もが良く知るこの2大誌のTOPとしてそれぞれ辣腕を振るった、週ゴン・竹内宏介氏(古いファンの方なら「全日本プロレス中継」の解説者としてご存知ではないでしょうか)と週プロ・ターザン山本氏(こちらは説明するまでもなく、ある意味「レスラー以上に著名」となってしまいました)の競作(「共作」、の方が感じが近いでしょうか)となっています。お二人共、プロレスに吸い寄せられ、そして雑誌編集に携わっていく過程から、それぞれが週刊誌の長となり、熾烈な販売競争の中でお互いをライバル視しつつ、微妙にクロスしていくところ等が、竹内氏、山本氏双方の立場より書かれており、大変興味深く読むことができます。有名な話ではありますが、竹内氏のプロレス誌におけるスタートは、後にライバルとなるベースボールマガジン社であった点等は何か因縁を感じさせられますね。
週刊プロレスの創刊(というか、月刊プロレスの「週刊化」)は1983年7月のことでしたが、それからしばらくの間、ゴングはこれに追随することなく月刊の方針を貫き、2誌はそれぞれ独自路線を取っていました。ところが、週プロが軌道に乗り始めたこの年の8月に、あの「新日本プロレスクーデター事件」が発生、その後もすぐ新団体設立騒動(後の第1次UWF)等が続いていく混迷時代に直面し、ゴングはファンに対する「月刊」誌での情報提供への限界を感じはじめた結果、ついに翌年5月に週刊化を敢行、プロレスは2大週刊誌時代へと突入していくこととなりました。ちなみに週プロの創刊号の表紙は、当時退団騒動の渦中にあった初代・タイガーマスク(佐山サトル氏)であったのに対し、週ゴンの創刊号の表紙はオーソドックスな「ジャイアント馬場・アントニオ猪木」であり、これを見た週プロ・山本氏はこの「週刊誌戦争」の勝利を確信したとか(当時のプロレス2大巨頭をその創刊号の表紙に使う無難な選択に「既成概念の殻」を打ち破れないと見た)。また、同年、今は亡き「ビッグレスラー」(立風書房)の週刊化等もありましたが、結局はこの2大誌を脅かすことはできず、2誌鼎立時代が続くことになります。
ということで、2大週刊誌とプロレス業界の関わりを辿る上でも、本書は読み応えがあり、また、史料価値としても高いもので、今何となくこれら週刊誌を読んでいる方にもオススメできますし、もちろん、「かつての愛読者」の方々にもオススメです。
ご存知のとおりターザン山本氏は実質的に週プロを終われ現在はフリー、一方週ゴン竹内氏も経営面等でいろいろご苦労されています。
両氏に対するいろいろなご批判もあろうかとは思いますが、このお二方なら、まだまだ大きな、そして素晴らしい仕事をしてくれると思いますので、今後とも応援していきたいところです。
オススメ度 ★★★★★(5点満点)

プロレス本・書籍紹介 倒産!FMW
今回もプロレス本・書籍のご紹介です。今回ご紹介するのは、残念ながら今は故人となられてしまったFMW社長、荒井昌一氏(当時)による同団体崩壊までを渾身の描写で綴った「倒産!FMW―カリスマ・インディー・プロレスはこうして潰滅した」です。本書はFMW崩壊直後、様々な究極的状況に追い込まれていたであろう最中に書き上げられた、氏の「魂の一冊」と言えるでしょう。
荒井社長につきましては、既にいろいろなところで語られていますので、ここであらためて何かを申し上げることはいたしません。只々、謹んでご冥福をお祈り申し上げる次第です。
さて、早速内容の方をご紹介したいと思います。この本を一言で表すと「臨場感」でしょうか。特に取立てに来た金融業者とのやりとりを描いた場面は、下手な小説などより、余程頭にその情景が浮かんでくるほど優れたものとなっており、自身その場にいるような錯覚を起こしかねません。よしんば、氏が全てを執筆したのではないとしても、「追い込まれた者」の細かな心理描写をここまで丹念に書き上げている書籍は珍しいのではないでしょうか?
また、プロレス団体の経営及びそれに係る大仁田厚氏との確執、そしてFMW崩壊に至る過程等も実に見事にまとめられており、一気に読み進むことができてしまいます。プロレス本・書籍の中でも出色の出来だと言ったら言い過ぎでしょうか?
これほど素晴らしい内容の本を書き上げる氏の力量を以ってすれば、FMW崩壊後も他に何かやりようがあったのではないかとさえ考えてしまいます。一読者としても、プロレスファンとしても、そしてまだ人生先がある(と一応思っている)氏の同年代として、本書が「遺作」となってしまったことに対し、忸怩たる思いが後を絶ちません。
とにかく、皆さんに一度は読んでいただきたいプロレス本・書籍です。
オススメ度 ★★★★★(5点満点)

荒井社長につきましては、既にいろいろなところで語られていますので、ここであらためて何かを申し上げることはいたしません。只々、謹んでご冥福をお祈り申し上げる次第です。
さて、早速内容の方をご紹介したいと思います。この本を一言で表すと「臨場感」でしょうか。特に取立てに来た金融業者とのやりとりを描いた場面は、下手な小説などより、余程頭にその情景が浮かんでくるほど優れたものとなっており、自身その場にいるような錯覚を起こしかねません。よしんば、氏が全てを執筆したのではないとしても、「追い込まれた者」の細かな心理描写をここまで丹念に書き上げている書籍は珍しいのではないでしょうか?
また、プロレス団体の経営及びそれに係る大仁田厚氏との確執、そしてFMW崩壊に至る過程等も実に見事にまとめられており、一気に読み進むことができてしまいます。プロレス本・書籍の中でも出色の出来だと言ったら言い過ぎでしょうか?
これほど素晴らしい内容の本を書き上げる氏の力量を以ってすれば、FMW崩壊後も他に何かやりようがあったのではないかとさえ考えてしまいます。一読者としても、プロレスファンとしても、そしてまだ人生先がある(と一応思っている)氏の同年代として、本書が「遺作」となってしまったことに対し、忸怩たる思いが後を絶ちません。
とにかく、皆さんに一度は読んでいただきたいプロレス本・書籍です。
オススメ度 ★★★★★(5点満点)

プロレス本・書籍紹介 WWEの独裁者
本日もまたまた、プロレス本・書籍の紹介です。今回は、日本のプロレスではなく、アメリカのプロレス戦争の内情を書き上げている「WWEの独裁者―ビンス・マクマホンとアメリカン・プロレスの真実」をご紹介します。この本は、国内でさえもう2年半前に出版された本ですが、今読んでもその時間的なハンデを感じることは全くありません。
さて、本書はWWE非公認ながら、ハルク・ホーガンをその尖兵として繰り広げたビンスの全米侵攻や、その侵攻に伴うメディア戦略といった「リング外の戦い」に主として焦点を当て、これを客観的かつ鮮やかに描写しています。また、ホーガンのWCW移籍後に同団体を支えた、”ストーンコールド”スティーヴ・オースチンや”ヒットマン”ブレッド・ハート、ショーン・マイケルズとHHHの「D-Generation X」(「DX」)等がメディアの倫理規制といかに闘い、そしてブレイクしていったか(これも結局はビンスの方針、なんでしょうけど)等もよく描かれています。
この他、当時、実質的に「カルテル」であったNWAの内情や他のマーケット等にも切り込んでおり、このあたりは非常に興味深く、また資料的価値も高いものとなっています。まだまだ「プロレス真剣勝負思想」が一般的であった時代に、各地区のプロモーターが合議制でチャンピオンを決定していた、という事実は現在でこそ当たり前のように皆さんご存知ですが、ある意味「時代」を鋭く抉り出していると言えるでしょう。ただし、プロレスとは縁がない著述陣のためか、ところどころ誤りがあったりします。これをキチンと巻末で補足・訂正しているのがプロレスライターとして著名な斎藤文彦氏ですから、アフターフォローも万全と言えます。
自身、1985年3月31日に初めて開催された業界最大イベント「レッスルマニア」の詳細を週刊プロレスあたりで読んだ時に「これはすごいイベントだな」と思ったことを覚えていますし、当時、全米侵攻がスタートしたばかりであったにもかかわらず、(記憶が確かなら週プロに)「米国プロレス関係者の間では、このイベントで『勝負あった』という雰囲気が漂っている」というような趣旨のコメントが載ったりしていて、「それ程すごいのか」と認識をあらためたことも鮮明に覚えています。ちなみに、ちょうどこの「レッスルマニア」が開催される少し前に、長州力ら維新軍等の大量離脱でどん底に喘いでいた新日本プロレスにブルーザー・ブロディが電撃移籍を果たしたことも、併せて思い出してしまいます(大物外国人レスラーの移籍がよほど嬉しかったのか、この時は、テレ朝のニュースでも取り上げられていました)。
正直申し上げて、アメプロにこれほどのパワーがあり、そして市場がここまで大きくなるとは、20年くらい前は全く予想もしていなかったため、現在の繁栄(さすがに一時よりパワーダウンはしていますが)はまさに隔世の感があります。しかしながら、アメプロがここまで大きくなった、という事実、そしてWWEは株式公開を果たしており、スポーツエンターテイメントを代表する企業となっているという事実は、今後の日本のプロレスを考える上で様々な方法論を示唆していると言えるのではないでしょうか?
相変わらず、アメプロにも賛否両論はありますが、学ぶべき点も多々あることは間違いなく、本書は万人にオススメできる一冊となっています。
オススメ度 ★★★★★(5点満点)

さて、本書はWWE非公認ながら、ハルク・ホーガンをその尖兵として繰り広げたビンスの全米侵攻や、その侵攻に伴うメディア戦略といった「リング外の戦い」に主として焦点を当て、これを客観的かつ鮮やかに描写しています。また、ホーガンのWCW移籍後に同団体を支えた、”ストーンコールド”スティーヴ・オースチンや”ヒットマン”ブレッド・ハート、ショーン・マイケルズとHHHの「D-Generation X」(「DX」)等がメディアの倫理規制といかに闘い、そしてブレイクしていったか(これも結局はビンスの方針、なんでしょうけど)等もよく描かれています。
この他、当時、実質的に「カルテル」であったNWAの内情や他のマーケット等にも切り込んでおり、このあたりは非常に興味深く、また資料的価値も高いものとなっています。まだまだ「プロレス真剣勝負思想」が一般的であった時代に、各地区のプロモーターが合議制でチャンピオンを決定していた、という事実は現在でこそ当たり前のように皆さんご存知ですが、ある意味「時代」を鋭く抉り出していると言えるでしょう。ただし、プロレスとは縁がない著述陣のためか、ところどころ誤りがあったりします。これをキチンと巻末で補足・訂正しているのがプロレスライターとして著名な斎藤文彦氏ですから、アフターフォローも万全と言えます。
自身、1985年3月31日に初めて開催された業界最大イベント「レッスルマニア」の詳細を週刊プロレスあたりで読んだ時に「これはすごいイベントだな」と思ったことを覚えていますし、当時、全米侵攻がスタートしたばかりであったにもかかわらず、(記憶が確かなら週プロに)「米国プロレス関係者の間では、このイベントで『勝負あった』という雰囲気が漂っている」というような趣旨のコメントが載ったりしていて、「それ程すごいのか」と認識をあらためたことも鮮明に覚えています。ちなみに、ちょうどこの「レッスルマニア」が開催される少し前に、長州力ら維新軍等の大量離脱でどん底に喘いでいた新日本プロレスにブルーザー・ブロディが電撃移籍を果たしたことも、併せて思い出してしまいます(大物外国人レスラーの移籍がよほど嬉しかったのか、この時は、テレ朝のニュースでも取り上げられていました)。
正直申し上げて、アメプロにこれほどのパワーがあり、そして市場がここまで大きくなるとは、20年くらい前は全く予想もしていなかったため、現在の繁栄(さすがに一時よりパワーダウンはしていますが)はまさに隔世の感があります。しかしながら、アメプロがここまで大きくなった、という事実、そしてWWEは株式公開を果たしており、スポーツエンターテイメントを代表する企業となっているという事実は、今後の日本のプロレスを考える上で様々な方法論を示唆していると言えるのではないでしょうか?
相変わらず、アメプロにも賛否両論はありますが、学ぶべき点も多々あることは間違いなく、本書は万人にオススメできる一冊となっています。
オススメ度 ★★★★★(5点満点)



